FREECELL vol.66
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FREECELL vol.66

  • 本体価格 907
  • 発売日 2024.11.27
  • コード 62490-47
表紙巻頭特集
菅田将暉 主演『サンセット・サンライズ』表紙巻頭14ページ特集
菅田将暉 主演『サンセット・サンライズ』表紙巻頭14ページ特集
以下特集リードより

西田敏行さんが亡くなられてから追悼で放送された西田さん主演の『釣りバカ日誌』を観ると、同作が年末年始に公開されるお正月映画(=日本各地の名所の観光映画)として、絶妙なこういうのでいいんだよという「ちょうど良さ」を実装していたことに改めて気付かされた。さて、では2025年の年末年始公開の映画は? と年始の映画の公開リストを見ると、テレビドラマのスピンオフものにかろうじてその影を見られるぐらいで純粋なお正月映画というものは存在しない。だからこそ菅田将暉が、コロナ禍の三陸に移住し釣りと東北グルメにドハマりして行く主人公の大企業の社員・西尾晋作を演じる『サンセット・サンライズ』は1月17日公開ながら、かつてのお正月映画への令和7年初頭公開ならではのオマージュになっているのではないか? という仮説を強く立てたい気持ちになった。そう思ったのは、同じ東北出身で脚本を担当した宮藤官九郎と岸善幸監督の2011年以降のそれぞれの東北への思いが見事にマリアージュされた、近年稀に見る泣き笑いエンタメ映画として、とても高い境地にあるからだ。岸監督と菅田将暉のコラボ作品としては『あゝ、荒野』以来7年ぶり。しかも『あゝ、荒野』では公開時点では近未来だった2021年の新宿を舞台にして、菅田将暉が演じた新次らが、闇バイトまがいの犯罪に手を染めている今の日本を予見するような描写まであったーー。そんな先鋭性を持ち、かつR指定ありでハードタッチな社会派ものが得意な岸監督が撮った令和7年の人情もの映画『サンセット・サンライズ』は、一言で言うと従来の人情が成りたたなくなった世界での新しい人情の機微を提案する、(二律背反する言い方だが)とてもハードなハートウォーミング・ムービー。まだ新年に映画館に行く予定がない方にぜひ劇場で観ていただきたい最強の“お正月明け映画”として以下主演の菅田さんと岸監督が同作について正確に語ったインタビュー2本立てで表紙巻頭で大特集します!

以下見出しより
「『サンセット・サンライズ』撮影前に事前に釣り船に乗せてもらって釣りにも行かせていたただきました。本来だったらちょっと太りすぎないようにしようとか、この場面ではこういう表情で行こうとか考えるんですけど、この作品に関してはバンバン美味しいものを食べて、どんどん幸せな顔を作って行こうと思いました。その自然に任せて行く感じは自分でもとても楽しかったです」

(井上真央さんとの共演シーンで印象的だったものは?)
「中村雅俊さんが演じる漁師の章男さんの家で晋作が井上さんが演じる百香に関してあることを言うと、百が突然包丁を取り出してものすごい勢いでなめろうを作り始めるんです(笑)。あのシーン、台本上はものすごくコミカルなんですけど、演じてみると、1個1個の会話のラリーが重いんです。そのときの井上さんの佇まいとか、百香の本音を感情を込めて言いながらも、なめろう作りの手は止めない気迫が、さすが姉さん!と思いました」

「確かに僕自身も(晋作同様に)利他の精神は結構強い方だと思います。人と一緒にいることで発生したエネルギーにちゃんと身を任せていたいと思うんです。この人のためにこんな音楽を作ろう!という動機が僕の音楽作りの一番のエネルギーで、それが結果的に人のためになったとしたら、それが僕が考える利他の精神を実践できたことになるのかな?と思います」

以下岸善幸監督インタビュー見出しより

(『サンセット・サンライズ』の撮影中に「あ、これでこの映画は行けたな」と確信を得られたシーンがあったら教えてください、という質問に )
「芋煮会のシーンですね。本当に重要なシーンだと思っていたので、そこを撮りきれたのは大きかったてです。菅田さんが演じた晋作って飄々としてる人物なんですが、あのシーンで晋作が変貌するんですよね。菅田さん演じる晋作の表情や台詞の抑揚を通して晋作の変貌に見入っていました。川のせせらぎもあるので、ノイジーな環境でどう感情の変化を表現するのか注目していたんですけど、流石の表現力なあと思いました」(岸善幸監督・談)